移動のバスで一緒。食事で一緒。宴会が終わったら、同じ宿へ戻る。やっと部屋へ入っても、そこに同僚がいる。
社員旅行の行程を見ていると、観光地より先に「いつ一人になれるのか」が気になります。会社を出た後なのに、会社の人間関係から離れる時間が見当たらない。
社員旅行に行きたくないのは、旅行を楽しむ能力が足りないからではありません。普段から会いたくない相手と、夜や翌朝まで一緒に過ごしたくない。そのままの話です。
ここでは、任意の懇親旅行として出欠を聞かれている場面を扱います。行きたくないなら、「今回は参加しません」と欠席を返せます。泊まりを楽しめる人へ自分を変える計画まで、返事に添える必要はありません。
宴会が終わっても、家へ帰れない
飲み会なら、終わった後には帰宅できます。社員旅行は、その後にも会社の人間が残ります。
寝る準備をするときまで雑談へ返事をする。朝起きたら、また同じ相手と食事をする。布団に入る前くらい黙っていたいのに、その沈黙も「元気ないね」と拾われるかもしれない。
楽しい旅程を考えたつもりでも、こちらにとっては会社から離れられない時間が延びただけです。上司が浴衣に着替えても、こちらの頭から上司でなくなるわけではありません。
「普段とは違う一面が見られるよ」と言われても、別に見たくないです。私も、会社へ見せる顔以外をわざわざ開放したいとは思いません。
休みの日に誰と会い、どこで眠り、いつ話をやめるか。そういう小さな自由を一つずつ会社の予定へ置き換えられる。しかも、ありがたい福利厚生を受け取っている顔まで求められるなら、反吐が出ます。
社員同士の仲が深まったかどうかより、自分が休めたかどうかの方が大事です。旅先の景色がきれいだったとしても、夜まで会社の人間に囲まれることを引き受けたい理由にはなりません。
泊まりではなく、店での飲み会だけを断りたい場合は、会社の飲み会に行きたくないときの話へ。旅行は、宴会が終わってもその場から生活ごと離れにくいことが、別の負担になります。
「個室なら」「宴会だけ抜ければ」で、参加へ戻される
泊まりが苦手だと言うと、「個室にすれば?」「お風呂は一人で入れば?」と代案が出てくることがあります。
一つだけ直せば参加したいのなら、その選び方もあるでしょう。でも、そもそも社員旅行へ行きたくないなら、嫌な点を全部説明し、ひとつずつ解決してもらう面談を始めなくていいです。
「泊まりがちょっと」とだけ答えると、泊まりを外せば行く人として話が進む。「宴会が苦手」と言えば、宴会以外は一緒に過ごせる人として席が残る。
そのたびに次の理由を出していると、欠席を伝えるはずが、どうすれば参加できるかの相談へ変わってしまいます。会社に残った問題を探してもらうのではなく、自分は今回は参加しないと返したいです。
「日帰りでも」と言われても、日帰りで行きたいわけではないなら、「今回は日帰りでも参加しません」。どの案なら嫌ではないのか、こちらが最後まで答えを用意する必要はありません。
旅行へ行かない代わりに、留守番の面倒な仕事や準備係へ手を挙げる必要もないです。不参加を選ぶたび、別の役目を差し出して許しを買いたくありません。
会社行事全般との距離の取り方は、会社行事に行きたくないときの話にあります。ここでは、泊まりや翌朝の予定まで続く旅行へ、参加の返事を出す前の場面に絞っています。
もちろん、欠席を返せば全員が気持ちよく受け入れるとは限りません。「付き合いが悪い」と言う人もいるでしょう。それでも、その一言を避けるために丸一日以上の居心地の悪さを買うことが、必ず自分の得になるとは思いません。
すでに申し込んだ旅行のキャンセル料や、積立金をどう扱うかは、これから参加するかという希望とは別の用件です。また、業務として出席を命じられている旅行について、欠席しても不利益がないと一律に断定する話ではありません。本文は任意の懇親旅行への返事を扱っています。
会社行事の個人負担そのものが気になる場合は、会社行事の費用を払いたくないときの話へ。費用のために参加したいことにされたり、不参加だから精算も全部消えると思い込んだりする必要はありません。
会社の人間と一晩過ごすくらいなら、家で特に何もせずに終わる方がいい。観光の予定がなくても、自分の好きなときに会話を終え、自分の寝床へ戻れる。その一日を残したいです。
職場で毎日顔を合わせているのに、まだ足りないと言う。寝る前と起きた後まで差し出さなければ仲間として足りない。その底なしの要求を、「旅行」という楽しそうな名前で包まないでほしいです。
『モンスター社員の教科書』には、会社に適応しないモンスター社員の実例と、少しラクになる考え方をまとめています。会社の人間と同じように旅行を楽しめず、自分だけがおかしいのかと思う人へ。会社へ合わせる時間を、これ以上増やしたくない日に読んでみてください。



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