職場でミスが多い。指示どおりに動けない。空気を読まない。そこで誰かが言い出します。
「あの人、ADHDなんじゃない?」
ホント、雑です。
仕事上の問題を検証する代わりに、診断名らしき言葉を貼りつける。会社の指示不足も、配置ミスも、無茶な仕事量も、全部その人の頭の中の問題にして終わらせる。
モンスター社員とADHDを、外から見える一部の行動だけで結びつけることはできません。
診断するのは上司でも同僚でもありません。まして、会社で扱いにくいという感想は診断基準ではありません。
ADHDは「会社に迷惑をかける人」の名前ではありません
ADHDは、不注意や多動性・衝動性などの特徴によって、日常生活で困難が生じている状態を指します。
厚生労働省の「こころの耳」の解説でも、特徴が持続し、学校・家庭・職場など複数の場面で困難が見られる場合に診断されると説明されています。
職場で一度ミスをした。期限を忘れた。会議で落ち着きがなかった。
それだけを見て、周囲が勝手にADHD認定する筋合いはありません。
都合の悪い社員へ病名の札を貼れば、会社はラクです。まともな指示を出せなかったことも、確認体制が壊れていることも、人員配置がクソだったことも考えずに済みます。
同じADHDでも、特性や困りごとは一人ずつ違います
発達障害の特性は、一枚のチェックリストで人間を分類できるほど単純ではありません。
厚生労働省の職場向け資料でも、同じ種類の発達障害であっても特性や程度は一人ひとり異なるとされています。
苦手なことがある一方で、環境や仕事の渡し方が変われば問題が小さくなる人もいます。
- 口頭指示ではなく文章で渡す
- 締切と優先順位を明確にする
- 同時に複数の依頼を投げない
- 確認する担当者を決める
- 音や人の出入りが少ない場所を使う
こうした整理もせず、「本人の注意力が足りない」で殴り続ける会社は、管理を放棄しています。
問題行動と診断名を混ぜないでください
もちろん、職場で困る行動があれば、具体的に確認する必要はあります。
連絡がない。仕事が期限を過ぎた。怒鳴られた。担当が放置された。
見るべきなのは、この事実です。
ADHDかどうかを素人が推理しても、仕事は一ミリも片づきません。
診断名を持ち出した瞬間、話が「何が起きたか」から「あの人はどういう人間か」へすり替わります。これでは対策もできず、偏見だけが残ります。
本人側も同じです。「自分はADHDだから全部ダメだ」と、自分の人生すべてを診断名で殴らないでください。
一つの業務が合わないこと、会社の説明が分かりにくいこと、人員配置が壊れていることまで、全部が本人だけの責任になるわけではありません。
困っているなら、診断名より先に事実を分ける
仕事で苦しんでいる本人は、まず困りごとを細かく分けてください。
- どの作業で止まるのか
- 口頭と文章のどちらが分かりやすいか
- 割り込みがあると何が抜けるのか
- 期限や優先順位は明示されていたか
- 仕事量は勤務時間内に収まるのか
「自分は仕事ができない」という巨大な絶望を、確認できる小さな事実へ戻します。
そのうえで、業務上必要な変更を具体的に伝えればいいです。
口頭だけだと抜けるため、期限と優先順位をチャットでもらえますか。
この二つを同時には進められません。先に対応する方を指定してください。
会社へのお願いというより、事故を減らすための業務確認です。
診断や相談が必要かは、本人が決めることです
仕事だけでなく生活の複数の場面で困難が続き、自分自身が相談したいと思うなら、専門窓口や医療機関を利用する選択肢があります。
政府広報オンラインでは、発達障害者支援センターや医療機関、就労に関する相談先が案内されています。
ただし、受診は会社が面倒な社員へ押しつける罰ゲームではありません。
診断の有無にかかわらず、曖昧な指示は曖昧です。無茶な仕事量は無茶です。人格攻撃はクソです。
会社の管理不足を、本人の診断名で帳消しにさせないでください。
アスペルガーという言葉で決めつけられている場合は、モンスター社員をアスペルガーと決めつける前に。職場で損しない距離の取り方も読んでみてください。
まとめ:診断名ではなく、起きていることを見てください
モンスター社員とADHDを、単純に結びつけることはできません。
職場で問題があるなら、診断名を推理するのではなく、起きた事実、指示、期限、仕事量、環境を確認するべきです。
会社でうまく振る舞えないからといって、人間として欠陥があるわけではありません。
会社が説明も調整もせず、「本人がおかしい」で終わらせる。そのクソみたいな怠慢まで自分のせいにしなくていいです。
モンスター社員に振り回され、会社はまともに守ってくれず、自分だけが尻拭いをさせられる。そんな職場に忠誠を尽くす意味はありません。
今度は自分が会社に食われないために。「モンスター社員」の見方で、少しラクになりたい人はこちらへ。



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